人面犬再び...
難しいことは私にゃわかりませんが、どうやら生まれたばかりの実験用のネズミさんにお注射することで、人間に近い体質を持つことができるようになるらしいです。この試みが成功すれば、ネズミを使った実験で人体実験に限りなく近いことができるようになるとのこと。フムムゥ...
あれは1年前のことでした。あの日は僕が当直で、1週間ほど前に処理を施したハツカネズミたちに餌を与えに行ったときのことでした。
50匹のネズミたちには何の異常もないようでした。1匹を除いて。そう彼女を除いては...
私は驚いてはいなかったと思います。叫び声をあげることはおろか、指1つ動かさなかったはずです。私たちがしたことですから...
しかしながら、それは驚嘆に値するものでした。やはり5分ほどは触れることをためらったと思います。まず敵意がないことを確認し、そして一言、二言話かけて見ました。言葉を理解するかも知れぬと考えたからです。
彼女を... そう、今彼女の美しい姿をみれば彼女と呼ぶべきそのハツカネズミをつまみあげ、私は何を考えていたのでしょうか、ポケットにしまい込み、かわりに別のハツカネズミを元のカプセルに放り投げました。
誰にも渡したくなかった、そんな気持ちだったのでしょう。根拠などありませんし、もちろんこんなことになるとは想像もつきませんでした。
私は宿直室の机に彼女を置き、ただ夜が明けるまでじっと見つめていたかと思います。夜が明けるのが非常に待ちどおしかった。夜が明けたら彼女をこっそり持ち帰り、育ててみるつもりでした。単なる好奇心だったのでしょうし、守ってあげたいという気持ちもあったでしょう。いや、もしかしたらこの運命の出会いを予感していたかもしれません。この怪奇でつらい出会いを...
つづく... わけないか。
<03月25日 09時55分> Author: 衣笠 | Category: その他 | Writebacks(1466)

